前にいた子のおはなし...


はじめに
1.出会い
2.親離れ子離れ





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由葉が我が家にやってくる1年前まで、我が家には黒いワンコがいました。
本名は明(メイ)、でも、私と夫と友達は「うんちゃん」と呼んでいました。
その子のおはなしです。

私が夫と結婚してしばらくした冬のある朝、義母が妙な笑みを浮かべながら「ちょっとコタツの中を見てみや」と私にいいました。
「肉まんでも買ってきてくれたのかな?」とコタツ布団を持ち上げて覗き込むと、白地に黒いブチのふんわりした物体と眼が合い、絶対に肉まんでもあんまんでも無いことだけはすぐに解りました。
おそるおそる手をのばし、触れたソレが何かわかった瞬間、手を引っ込め義母にひとこと「噛まへん?」

実は私は、犬が怖かったんです。
子供の頃、近所の白い小型犬に噛まれたことがあって、噛まれたと言っても何針も縫うような怪我をした訳では無く、指に本のちょっと穴が開いただけなんですが、私に「犬=噛む、怖い」と刷り込むには充分な体験だったんです。


さてさて、その白と黒のブチの子が、明(めい)こと、うんちゃんのお母さんです。
幼児期は室内飼いをしていましたが、中型雑種の宿命というか、有る程度大きくなると外に犬小屋が置かれ、外に繋がれることになりました。
今思えば、雌のワンコを外に繋いで飼うなんて、なんて恐ろしい飼い方をしたんだろうと思うのですが、その時は、義母の連れてきた犬だし、私は犬の飼い方なんて知らなかったし興味も無かったし、、、そして、事件は起こるべくして起きた訳です。

犬を飼い始めた秋のある日、妙な物音が聞こえて窓の外を見ると、見知らぬワンコが逃げていくのが見えました。その年のクリスマスの朝、犬小屋の中には5匹赤ちゃんが生まれていました。おかあさんワンコは1歳になるかならないかの時だったと思います。



この子がうんちゃんのお母さん
我が家に来たばかりの頃です。